『わが動物記』、「蕪村と一茶」、犬の名前

6月22日(水曜日)から、人形町ヴィジョンズのイラストレーター・シリーズの5回目が始まる。年二回開催で三年目。今回は、「蕪村と一茶」丸山誠司さんと山下以登さん。去年から一年がかかりで用意してきた。彼らは蕪村や一茶をたずねて京都、長野、黒姫、結城、宮津を旅してきた。ぜひ、ご覧下さい。

 

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「蕪村と一茶」のトークショーは、6月26日(日)、ゲストに作家の関川夏央さんと俳人の高山れおなさん。こちらは、ヴィションズのサイトで申し込んでください。6月1日から受付中。

 

知り合いの編集者が、ロンドン・ブックフェアでお土産に買ってきてくれた。大好きな本。中綴じで小さな本。表紙のワンチャンの絵が、うちのエルザにそっくりなのが嬉しかった。本はこれでいいんだ。こんな本をいっぱい作りたくなる。

 

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『The Incomplete Book of Dog Names(不完全な犬の名前の本)』115ミリ×82ミリ/中綴じ/24頁/Orange Art Miniature/本文は活版印刷/2006年版で6刷/表紙は、犬の絵入りタイトルのラベルを貼付けている/見返しのドットがかわいい

 

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犬についての名言の引用がすこしと(私の翻訳力では少々むずかしい)、有名人や、普通の人の飼い犬の名前がのっている。合間に、小さな活版の犬のカット(絵)が少しあるのも嬉しい。

 

Falla=FDR(フランクリン・ルーズベルト) Diamond=アイザック・ニュートン Cujo=スティーブン・キング J. F. ケネディの愛犬はButterflyだ。『The Incomplete Book of Cat Names』もある。これはThe lively little letterpress libraryのシリーズの一冊。

 

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『わが動物記』犬飼哲夫著/暮しの手帖社/1970年刊/上製/角背/本文頁サイズ=左右130mm×天地180mm(四六判変型というべきか)/356頁(22折+4頁)/著者名の位置から考えると、多分、帯はついていなかっただろう。

 

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京都のUmweltに「あがたの森書房」が置いている棚にあった。花森の晩年の装丁。この本は印象の強いデザインなのでよく覚えている。当時はあまり感心しなかった。アイヌの模様が、モダニズムにそまった若造にはなじめなかったのだろう。その頃私は、花森安治が戦後のある時期まで「暮しの手帖」を編集しながら、自社以外の数多くのブックデザインをしたことを知らなかった。私が知っていたのは、暮しの手帖社の単行本のデザインだけで、よくなじめなかった。アイデアがシンプルですっきりしているが、時代とは違うスタイルだときめつけていた。

 

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タイトル、著者名、版元の名前ともに手描き。模様の中に小さく入っている。定価の720円の活字が目立つ。これは手描きにしていない。背の文字も小さい。背に社名はなし。カバーは、細かい布地風のエンボスのある紙。花布はグリーン、スピンは焦げ茶。カバーの模様の特色4色(赤、紺、グリーン、茶色、背のタイトル用の短冊はうす茶色だが茶色が退色したもの)と文字のスミ(BL)ともで5色刷り。4色分解はなし。角背。四角い本。
表紙は、スミと茶色の2色で別のアイヌ風模様。y.hanaのサインがある。

 

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見返しは、濃いブルーのミューズコットン(1959年に発売された王子製紙のファンシーペーパー。現在の見本帖には同じ色が見あたらない。変色したかもしれない)その次は一枚遊び紙。そして本扉(タイトルと著者名)。裏白。目次扉(目次の二字み)。目次は見開き2頁。タイトルは太い明朝体で、ノンブルはイタリックでかなり大きい。タイトルから1字アキ。タイトルそれぞれにアステリスクがついている。次の頁は装丁と装画のクレジット。花森のクレジットは〈装本〉だ。次は、本文第一章の扉、〈熊 I〉のタイトルと絵。裏白で、本文は左頁から始まる。7行のあけて本文は7行。1頁14行だから、半分のスペースがあけてある。ノンブルはイタリック。本文から一字アキで1行分内側にある。

 

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本文=9ポ(大日本)明朝/行送り19(これはかなり広い)/42字詰め・1頁14行/ノンブル=9ポ イタリック/目次は写植で18Q=写研BM-OKL/目次のノンブルは数字書体FF160(おそらく文字と同じ18Q)/本扉は活字20ポ、各章の扉は活字18ポ/本文は大日本印刷の明朝体。現在、デジタルフォント秀英明朝Lはこれの改刻。活版の本文明朝はしっかりした太さの仕上がりである。本文は行間が広いわりに読みやすい。天地のアキは同じ、24mm、左右の小口から本文までも24mm、ノドからは17mm。

 

主に北海道の動物のことが書かれている。アイヌの話も多い。熊のことが多い。狼の話もある。どれも面白い。著者は第一次南極観測隊のカラフト犬タロとジロの育ての親。

 

〈アイヌが鹿で生活をしていたことはさっきお話しましたが、同時にエゾ狼というシベリヤ系統の狼、これがまた鹿で命を保っていたのです。あれだけ豊富に鹿がいたら、狼も十分生活できるし、それにアイヌには狼は神様で、とりませんから、狼は非常にいい生活をしていたわけです。それが鹿がだんだんいなくなってきたでしょう、そこで狼もアイヌと同じで食物がなくなってきたのです。
ところが幸いなことに開拓がはじまって、人間のほうで牛だとか馬だとかどんどん持ってきた、だから、狼はそっちの方へ転向してしまったのです。
昔は、狼は山の中で鹿をとっていて、里へはそう出てこなかった、ところが鹿が山にいなくなったのものだから、里へ集中してきた、そこで人間のほうは牧場の経営ができないから、積極的に退治する、それでたちどころに絶滅してしまいました。もうエゾ狼はおりません。〉

 

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6月のカレンダー。これも小さい犬。この角度だとすこしぽっちゃり見える。ガラス製の犬。後ろはガラスの家。これは京都の岡崎にあるnomaというギャラリーで見つけた、扇田克也さんというひとの作品。ガラスの犬のほうはどこで見つけたか忘れた。

 

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前言の約束を翻して正反対のことを言って(ふつうは、これは嘘をつくと呼ばれるのだが)、これを「新しい判断」だという言葉にしてはばからない。一国を預かる首相が、平然とこんなことをするのにあきれる。あいた口がふさがらない。このひとの嘘は今回にかぎらない。ネットでは「ホラッチョ」と呼ばれているらしい。ある経済評論家は、彼のことを「息を吐くように嘘をつく」と形容していた。教会の説教のタイトルは「人間の外から来た言葉」。これは神の言葉ということであろうか。件のお方の「新しい判断」は「人間を外れて来た言葉」だ。

 

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今日の一曲はこれ。もとはLouis Jordanのナンバー。

Don’t Let The Sun Catch You Cryin’/Jeff Buckley